

インターネット白書30周年特別インタビュー:村井純が語る自律分散の哲学とデジタル基盤の使命

インターネット白書30周年特別インタビュー
10大キーワードで読む2026年のインターネット
01 AI検索
02 動画メディア
03 大阪・関西万博レガシー
04 オールフォトニクス・ネットワーク
05 CSAM対策
06 SNS規制
07 ワット・ビット連携
08 衛星インターネット
09 サイバー安全保障
10 WSIS+20
(執筆協力/仲里 淳)

10大キーワードで読む2026年のインターネット
巻頭言「AI前提社会でインターネットを守る責任」
江崎 浩●一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)理事長
第1部 テクノロジーとプラットフォーム
社会実装が進むAI技術
青山 祐輔●株式会社 企
2025年はAIの社会実装が進む転換点となった。AIエージェントが登場し、競争が激化する中で物理的な限界も見えてきている。AIが人々にとってより身近となる一方、法規制とガバナンスの整備も求められる。
社会実装が進む都市デジタルツイン
片岡 義明●フリーランスライター
都市に関するさまざまな情報を仮想空間に再現する“都市デジタルツイン”。その基盤となる3D都市モデルや点群データの整備が進み、大規模イベントやシステム開発、エンタメ分野などでの活用も広がっている。
アクセシビリティと共生の技術
仲里 淳●フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ研究員
2025年の日本は、万博、世界陸上、デフリンピックなどの国際的なイベントが開催され、技術ショーケースの場にもなった。そこで生まれた成果を、一過性ではなく持続的に社会へと実装していく必要がある。
1-2 クラウドとその他のテクノロジー
クラウドサービス市場の動向
林 雅之●●際大学GLOCOM 客員研究員(NTTドコモビジネス株式会社勤務)
生成AI需要によりクラウド市場が再加速、ネオクラウドが台頭した。推論重視のインフラ需要への変化やデータ主権回帰の動きの中、国内市場も成長が予測され、ガバメントクラウドは重要な政策インフラとなる。
大阪・関西万博に見る未来テクノロジー
野々下 裕子(NOISIA)●テックジャーナリスト
「未来社会の実験場」として大阪・関西万博に最先端技術が集結。通信環境が整備された会場ではIOWNも活用されたほか、実用化に向けたドローンショーが開催、ロボット工学などの次世代技術も紹介された。
第2部 デジタルエコノミーとビジネストレンド
2-1 コマースと金融
Eコマースの最新動向
田中 秀樹●株式会社富士通フューチャースタディーズ・センター 業務部門 部長
Eコマース市場はコロナ禍後のリアル回帰により成長率は鈍化したものの、物流制約がある中でも拡大を維持。AI活用は効率化から接客・販売領域へと広がり、ショッピングAIエージェントの進化に期待がかかる。
2025年の暗号資産の動向
岩下 直行●京都大学公共政策大学院 教授
2025年のビットコイン相場はETF経由の資金流入を背景に史上最高値を更新し、市場ではステーブルコインが拡大したが、年後半には不安定さが露呈した。各国で制度化は進むが、その射程には限界がある。
2-2 デジタルコンテンツ
2025年のテレビとインターネットの動き
倉又 俊夫●日本放送協会 メディア総局メディアイノベーションセンター チーフ・ディレクター
ラジオに始まった日本の放送が100年目を迎えた2025年、放送の配信シフトは確実に進み、国内ではNHK ONEが開始された。2026年は大型スポーツイベントを控え、放送・配信各社の動きが注目される。
AIがもたらした音楽産業の転換点
荒川 祐二●株式会社NexTone 代表取締役COO
音楽市場はストリーミングが主導した量的拡大期を終えた。生成AIによる騒乱は続くも、業界は対立から協調へと舵を切り、音楽の価値やアーティストの権利を再定義する「質的変革期」を迎えつつある。
国内オンラインゲーム市場の動向
澤 紫臣●しおにく企画合同会社 代表
市場規模の伸びが緩やかになる一方で、日本のオンラインゲーム市場は質的な変化のただ中にある。従来の統計では捉えきれないプレー体験や周辺産業の広がりを踏まえ、現在地を整理する。
2-3 デジタル広告とメディア
国内インターネット広告市場の動向
橋本 貴央●みずほ銀行 産業調査部 インダストリーアナリスト
スマートフォンの利用時間が伸長し、消費者が動画共有型プラットフォームを通して多様なコンテンツへの接触を拡大させるなか、メディアサービス企業の生成AIを活用した新たなサービスの展開に注目。
AI検索の広がりとインターネットメディアビジネスへの影響
中山 太一郎●株式会社野村総合研究所 ICT・コンテンツ産業コンサルティング部 シニアプリンシパル
AI検索の台頭により消費者の情報収集行動は急速に変化している。メディア事業者は、AI検索に代替されにくい独自性やブランド力を備えるコンテンツを自社媒体への集客に固執せず広く提供する必要がある。
2-4 通信サービス
国内通信事業者の動向
天野 浩徳●株式会社MCA 通信アナリスト
携帯各社は通信料金の値上げと経済圏拡大に向け既存顧客重視へ戦略を展開。通信品質と衛星通信サービス競争が6G時代へ向け新たな競争軸となる。またスマホ新法の実効性については今後の運用が注視される。

Eコマースの最新動向
第3部 インターネットと社会制度
3-1 法律と政策
インターネット関連法律の全体動向
岡村 久道●弁護士/京都大学大学院 医学研究科 講師/国立情報学研究所 客員教授
社会のデジタル化に対応し、「公職選挙法」「電波及び放送法」「刑事訴訟法」「ストーカー規制法」「医療法」など多くの法律が改正された。懸案の「個人情報保護法」改正は2026年の課題となる。
デジタルプラットフォームとデータ流通をめぐる規制動向
寺田 眞治●一般財団法人日本情報経済社会推進協会 客員研究員
EUは米国との摩擦の中、デジタルオムニバス法案に続く戦略を公表。AI競争を背景に各国でデータ主権に基づく経済安保の観点が強まる。日本では官民データ利活用推進基本法や個人情報保護法の改正に注目。
プライバシー保護と消費者保護をめぐる規制動向
寺田 眞治●一般財団法人日本情報経済社会推進協会 客員研究員
子どもの保護などプライバシー保護規制は強化の傾向。EUではデジタル公正法の提案、米国では連邦政府の方針に反し州法が積極的。日本では消費者保護の在り方が変化し抜本的な制度改革の議論が始まる。
CSAM(児童性的虐待コンテンツ)の現状と安心な情報空間に向けた動き
武田 勝彦●特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン 事務局長
生成AIとSNSの普及拡大により「CSAM」が激増、世界で年間3億人以上の子どもが被害を受けている。諸外国ではさまざまな対策が進んでおり、日本でも時代に即した法整備や業界投資などが期待される。
3-2 市民と防災
2025年の災害とインターネット
佐藤 大●一般社団法人情報支援レスキュー隊(IT DART) 代表理事/東北医科薬科大学病院
非地上系ネットワークは2026年に商用サービス増加の見込みで災害時の通信確保に有用。現場では大規模に取り組める企業と被災者に寄り添うNPOなど民間セクターの連携で支援の質の向上を。
第4部 サイバーセキュリティとインターネットガバナンス
4-1サイバーセキュリティ
2025年の情報セキュリティ動向
白石 龍亮●一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC) 早期警戒グループ 脅威アナリスト
インターネットに接続して利用される製品の脆弱性を突いた侵入のほか、IT基盤として法人で広く利用されている製品を狙った攻撃や事業継続に深刻な影響を与えるランサムウエア攻撃が目立った。
フィッシング詐欺被害の現状と対策
加藤 孝浩●フィッシング対策協議会 運営委員長
2025年は証券会社をかたったフィッシング詐欺報告件数が急増し、報告件数全体は約1.4倍に増加した。フィッシング耐性のある認証方式の導入が急務となっている。
「激増するAIスロップと偽・誤情報の動向
平 和博●桜美林大学 教授
2025年は反「偽・誤情報対策」を掲げる米国の第2次トランプ政権の発足で幕を開け、生成AIフェイク急増と相まってデジタル空間の混乱は深刻化した。日本ではファクトチェックへの注目の高まりがみられた。
日本のサイバー安全保障戦略の転換点〜能動的サイバー防御
持永 大●芝浦工業大学 准教授
2025年、サイバー対処能力強化法が成立した。政府が通信情報を分析し、アクセス・無害化措置に向けた整備が進む。「能動的サイバー防御」とは何か、なぜ必要か、サイバー安全保障政策はどう変わるのか。
4-2 トラフィックと通信インフラ
Beyond5G/6Gに向けた周波数政策や標準化の動向
飯塚 留美●一般財団法人マルチメディア振興センター 調査研究部 研究主幹
WRC-27に向けた無線通信規則改正では衛星・宇宙関連が議題の中心に。IMTの新規周波数帯特定では防衛・軍事ニーズ拡大のNATOとの調整が求められる中、IMT-2030の6G標準化への動きが加速。
インターネットトラフィックの動向
長 健二朗●株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)
福田 健介●国立情報学研究所
ここ数年、インターネットのトラフィックは安定した成長が継続している。AI 利用の影響も限定的で、トラフィック傾向に目立った変化は見られない。
AI需要で変化が始まった国内データセンター動向
三柳 英樹●株式会社インプレス クラウド&データセンター完全ガイド 編集長/クラウドWatch 記者
国内市場は生成AIの需要増加により大きな変化を迎えており、電力供給や冷却技術、立地選定など従来の常識が通用しない時代に突入している。一方で、クラウド向けハイパースケール型も建設が続いている。
IOWNに見るオールフォトニクス・ネットワーク(APN)動向
進藤 勝志●NTT株式会社 研究開発マーケティング本部研究企画部門IOWN推進室 担当部長
低遅延・低消費電力なAPN。「光電融合技術」を核にAI時代の産業を支える次世代情報通信基盤として期待される。データセンター設計にも変革を促しており、現在、IOWN GFには170社超が参画している。
4-3 インターネット基盤
ドメイン名の動向
横井 裕一●株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 広報宣伝室 室長
全世界のドメイン名登録数は約3億7850万件となり、JPドメイン名の登録数は180万件を超えた。4回目となる新gTLDプログラムの申請受付が2026年4月に開始される予定である。
IPアドレス利用の動向
川端 宏生●一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) IP事業部
新興国を中心としたIPアドレスの分配は継続の傾向をみせる。IPv4の利用停止を宣言する国も現れ、今後のIPv6対応にどのような影響を及ぼすか注視が必要な状況に。
DNSの動向
森下 泰宏●株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 技術広報担当・技術研修センター
サブドメインテイクオーバーの事例が相次いで報道され、デジタル庁と国家サイバー統括室の運用ガイドラインが改定された。複数の大手クラウドサービスで障害が発生し、DNSの重要性が改めて認識された。
インターネットガバナンスの動向
前村 昌紀●一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) 政策主幹
情報政策の指針となるWSIS+20成果文書でIGFの恒久化が打ち出された。国内ではオンラインカジノをめぐりブロッキングの議論に直面した。RIRのガバナンスではICP-2の改定が2026年まで続く。
第5部 インターネット関連資料
5-1 国内インターネット普及資料
5-2 デジタルコンテンツ資料
5-3 IoTその他の資料
5-4 世界のインターネット普及資料
付録 インターネットの主な出来事 2025
「インターネット白書」について
「インターネット白書」は1996年の創刊以来、日本のインターネットの成長や変化を毎年まとめてきたインターネットの書籍年鑑です。内容構成にあたっては、一般財団法人インターネット協会監修のもと専門家による寄稿と、市場動向調査により構成されてきました。現在は、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)も加わり、3団体の協力のもと、「The Internet for Everything」というキャッチフレーズを掲げて、より広範なインターネットの可能性をレポートしています。





