インターネット白書2016
10大キーワードで読む2015年のインターネット

ついに20年目に突入したインターネット白書。本年度版はこれを記念した特別企画「インターネットの10年後を語ろう!」で11人の専門家が未来のネット社会やテクノロジーを展望するほか、インターネット20年間の年表を掲載。また、2016年の注目キーワードは「IoT」「人工知能」「シェアリングエコノミー」「フィンテック」「定額コンテンツ配信」「メディアテクノロジー」「減災インターネット」「ドローン」「コンテナー型仮想基盤技術」「サイバーセキュリティ」。インターネットの現在・過去・未来をこの一冊で概観できる。


巻頭言「20年記念特別版発刊に寄せて」

[20年記念特別企画]インターネットの10年後を語ろう!〜2026年への展望または仮説

10大キーワードで読む2016年のインターネット


第1部 ビジネス動向

1-1 メディアとアプリケーション

モバイル×ソーシャル時代のメディアテクノロジー新潮流
小川 浩 ●株式会社リボルバー CEO
コンテンツ制作と配信プラットフォームの両方を実現する新興メディア群が台頭。バズフィードに代表されるこれら新勢力は、モバイルへの適応力を武器に既存のメディア業界や広告業界にも革新をもたらす。

Netflixの英国進出に学ぶ日本のSVODビジネスの可能性
清水 武 ●デロイト トーマツ コンサルティング テレコム・メディア・テクノロジー ユニットマネジャー
Netflixの上陸により、日本の動画配信市場は大きく動く可能性がある。優れたコンテンツはSVODビジネスが活発化するために最も重要なカギであり、そのための人員と資金の確保が必須となる。

音楽配信サービスの最新動向
荒川 祐二 ●株式会社NexTone 代表取締役COO
LINE MUSIC、AWA、Apple Musicと大手参入が相次ぎ日本でも定額制ストリーミングサービスが活気づく。課題はトライアル期間から有償へのユーザー獲得か。音楽コンテンツとの出会い方にも変化の兆しが。

国内オンラインゲーム最新動向
澤 紫臣 ●アマツ株式会社 取締役 チーフクリエイティブオフィサー
引き続き右肩上がりではあるが踊り場を迎えた感のあるスマートフォンゲーム市場。オンラインゲームはIPビジネスあるいはVRに活路を見出すことができるのか。

電子出版ビジネスの最新動向
中島 由弘 ●株式会社インプレスR&D/OnDeck編集部 編集委員
日本の電子書籍市場はコミックを中心に成長が続き、電子雑誌市場は月額定額制サービスの利用者が急増。今後、出版社は印刷版/電子版ともに制作の効率化やデジタルマーケティングに取り組むことが課題となる。

コンテンツホルダーとコンテンツ流通プラットフォームの新たな関係
中島 由弘 ●株式会社インプレスR&D/OnDeck編集部 編集委員
キュレーションメディアはスマートフォンでのニュースや記事の閲覧環境として定着し、コンテンツ流通プラットフォームはよりよいコンテンツの開発に乗り出した。変革の中で生き残るビジネスモデルは何か。

1-2 広告とマーケティング

国内インターネット広告市場の動向
石川 真一郎 ●みずほ銀行 産業調査部 調査役
インフィード広告を中心とするディスプレイ広告の成長により、スマホ広告が市場を牽引。動画広告は、制作コストの低下と配信可能媒体の増加により利用が拡大。導入の進むDMPは専門人材の育成が急務となる。

スマートフォンを起点にした情報接触
中村 義哉 ●ニールセン株式会社 エグゼクティブアナリスト
スマートフォンは中高年層へも普及し始め、消費者の情報接触行動に大きな変化をもたらしている。企業は、顧客がどのようにデバイスを使い分け、情報を取得し利用しているかを理解することがさらに重要となる。

グローバルサーベイからみる日本のモバイル利用動向と競争のカギ
清水 武 ●デロイト トーマツ コンサルティング テレコム・メディア・テクノロジー ユニット マネジャー
新規デバイスの購入には保守的だが、利用状況は非常に活発で依存度の高い日本のモバイルユーザー。動画配信を中心とする新しいサービス群がこうした利用者をいかに獲得するかが、今後の市場を読む鍵となる。

1-3 Eコマースとファイナンス

Eコマースの最新動向
田中 秀樹 ●株式会社富士通総研 経済研究所 担当部長
食品や日用品の購買が増えてEコマースは新たな段階へ。楽天市場とアマゾンの2強を追いかける各社は独自の強みを見出し始めた。スマホや越境ECへの取り組み、および顧客体験の向上なども今後の鍵となる。

コミュニケーションが支えるシェアリングエコノミーの価値
藤井 涼 ●朝日インタラクティブ株式会社 CNET Japan編集記者
個人間でモノや労働力の貸し借りや売買ができるシェアリングエコノミーは、利用者同士のコミュニケーションにより価値が高まる。さらなる発展のためには規制緩和などの環境作りが急務と言えよう。

決済プラットフォームの最新動向
多田羅 政和 ●株式会社電子決済研究所 代表取締役社長
日本でもフィンテックが大きな話題となり、金融会社によるITベンチャーへの出資の活発化が予想される。モバイルNFCではアップル、サムスン、グーグルが顔を揃える一方、モバイルQRコード決済も台頭してきた。

1-4 クラウド/データセンター事業者

クラウドビジネスの最新動向
林 雅之 ●国際大学GLOCOM 客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務
パブリッククラウド市場で4強による寡占が続くなか、プライベートクラウドの市場規模が急速に拡大。各事業者は、ユーザー企業に合わせた利用形態を提供するハイブリッドクラウドで差別化を図る。

クラウドシフトの潮流が求める国内データセンター事業者のビジネス変革
河原 潤 ●株式会社インプレス データセンター完全ガイド編集長/IT Leaders編集委員
企業/社会インフラを担うデータセンターのクラウドシフトが加速している。外資系事業者が日本での攻勢を強めるなか、サービス品質やサポート力といった国内事業者ならではの差別化が生き残りの必須条件となる。

1-5 VC投資

日本のアクセラレーターの変遷と2016年の資金調達動向
岩本 有平 ●TechCrunch Japan 記者
創業期のスタートアップを支援するアクセラレーターが日本のITベンチャーを活性化。独立系のみならずドコモやKDDIなどの事業会社も支援を開始した。優秀なスタートアップに資金が集中する傾向も見える。

1-6 ビジネス関連統計資料


第2部 通信事業者動向

2-1 国内通信事業者

国内通信事業者の動向
天野 浩徳 ●株式会社エムシーエイ(MCA) 代表取締役/アナリスト
MVNOの台頭や政府による携帯電話料金引き下げの圧力が強まる中、携帯電話会社による非回線事業の収益化が急務に。エネルギーの本格自由化を前に電力やガスとのセット販売が離陸。

2-2 海外通信事業者

海外通信事業者の動向
飯塚 留美 ●一般財団法人マルチメディア振興センター(FMMC) 電波利用調査部 研究主幹
LTE加入者数が伸び続ける中、見えてきた5Gの実現。米国では免許不要帯域のLTE利用や、LTEを活用したドローンに注目。欧州ではM&Aによるモバイル市場の業界再編が継続的に進展。

2-3 通信行政と業界改革

情報通信政策の動向
飯塚 周一 ●株式会社情報流通ビジネス研究所 代表取締役所長
首相による携帯料金値下げ指示を受けたタスクフォースの結論は長く続いた課題に終止符を打ち、携帯業界にインパクトをもたらした。今後は、国際化/レイヤー間進出・連携/IoTに向けた政策が展開される。

通信業界の地殻変動と通信事業者のモデル転換
飯塚 周一 ●株式会社情報流通ビジネス研究所 代表取締役所長
通信事業者を中心とした国内ICT信市場が転機を迎えている。端末からインフラまでのあらゆるレイヤーにおいて従来の概念を覆す動きが生じ、通信業界の伝統的事業モデルに変革を迫る。

2-4 通信関連統計資料


第3部 インターネット基盤動向

3-1 ドメイン名

ドメイン名の最新動向
横井 裕一 ●株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 広報宣伝室
全世界のドメイン名の数はこの1年で5.9%増加。新しい種類のgTLDも相次いで登場し、累計登録数は1000万件を超えた。gTLDは今後も増加する見込み。

3-2 IPアドレス

IPv6の最新動向
藤崎 智宏 ●NTT ネットワーク基盤技術研究所
IPv4アドレス資源の枯渇はさらに進展し、世界のほとんどの地域で新規のIPv4アドレスの取得が困難に。一方、IPv6の導入に拍車がかかっており、固定網のみならず携帯電話網でのIPv6利用も拡大しつつある。

3-3 トラフィック

インターネットトラフィックの現状と動向
長 健二朗 ●株式会社IIJイノベーションインスティテュート 福田 健介 ●国立情報学研究所
リッチコンテンツの流通やスマートフォンなど利用形態の多様化などで、ブロードバンドトラフィックの増加率が再び上昇傾向にある中、定額制の音楽/映像配信サービスの開始でさらなる伸びも予想される。

モバイルトラフィックの動向
西尾 麻里 ●シスコシステムズ合同会社 マーケティング本部アーキテクチャ&ソリューションズ マネージャ
世界のモバイルデータトラフィックは2019年には年間292Eバイトに達し、2014年の10倍となる見込み。日本のモバイルデータ消費量は依然として世界をリードし続けている。

3-4 基盤運用

インターネット基盤技術の現状と展望
松崎 吉伸 ●株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) シニアエンジニア
インターネット利用の多様化に伴い、DNSに関しては要素機能が細分化されるとともに、gTLDの追加とIDNの浸透が進んでいる。同時に、セキュリティや攻撃などへの対応も課題となっている。

3-5 インターネットガバナンス

インターネットガバナンスの動向
前村 昌紀 ●一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) インターネット推進部 部長
「IANA監督権限移管」は最終局面を迎えつつある一方、大きな注目を集めた「WSIS+10レビュー」プロセスは非政府ステークホルダー関与の重要性を盛り込んで終了。

3-6 セキュリティ

2015年の情報セキュリティ動向
塩田 修一 ●一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター 早期警戒グループ 情報分析ライン 情報セキュリティアナリスト
金銭を狙うマルウェアの一種であるランサムウェアは、各言語に対応したりLinuxを狙ったりなど多様化を見せながら世界的に流行した。インシデントとしては、高度サイバー攻撃が特徴的だった。

3-7 インターネット全体関連統計資料


第4部 製品・技術動向

4-1 IoT

IoTの本質
小池 良次 ●在米ITジャーナリスト
IoTブームが先進国全体に広がるが巨大市場になるのは2020年代。現在はシンプル世代だが、自律する世代、そして機械が機械を操る世代へと向かう。

ウェアラブルコンピューティングの最新動向
塚本 昌彦 ●神戸大学大学院
スマートウォッチは、出荷台数は多いが実感には乏しい。Google Glassは中止されたが、メガネ型はHMDを中心に各社がトライアル。それ以外のデバイスも多数発表されている。

拡大するAR/VR
清水 計宏 ●有限会社清水メディア戦略研究所
市場牽引力のある企業の参入で開発が進む。2016年には実用化が予想され、映像や自動車、医療、教育、美術、観光などに拡大。

4-2 ウェブテクノロジー

拡大するLinked Open Data
武田 英明 ●国立情報学研究所 教授
クロスドメイン関係や、図書館関係、バイオサイエンス関係、政府データ関係のアーリーアダプター事例が先導。日本の政府標準利用規約もCC-BY 4.0互換に。

4-3 ネットワーク

無線LAN関連の国際標準化動向
山田 曉、野島 大輔 ●株式会社NTTドコモ
IoT向けのIEEE802.11ahの標準化が本格化。最大約10GbpsのIEEE802.11axや、次世代測位方式IEEE802.11az、携帯電話と無線LANの融合による高速化なども議論。

ブロックチェイン技術の仕組みと可能性
山崎 重一郎 ●近畿大学
世界のメガバンクがR3 CEVコンソーシアムを設立。カラードコインによりビットコイン上で債券を実現。サイドチェインの生態系に期待。

位置情報ビッグデータを支える技術
中島 円 ●国際航業株式会社/慶應義塾大学 特任准教授
アーバンキャニオンや屋内測位技術が実用化に向けて開発。位置情報ビッグデータが蓄積され、自動運転や行動の解析、ターゲティング広告への利用が始まる。

HTTP/2プロトコルの動向
林 達也 ●株式会社レピダム 前田 薫 ●株式会社レピダム
2015年5月15日にHTTP/2がRFCとして公開、ヘッダー圧縮のHPACKも。実装の普及が進み、Webからのインターネット構造全体の変革は次のステージに進む。

DNSの最新動向
森下 泰宏 ●株式会社日本レジストリサービス(JPRS)広報宣伝室 技術広報担当
登録情報の不正書き換えによるドメイン名ハイジャックやDNS水責め攻撃が前年から続く。DNSSECはレジストリでの対応が進むが、各組織での普及が課題。

4-4 エンタープライズ

コンテナーと次世代クラウド
森 洋一 ●テクノロジーリサーチャー
コンテナー関連の課題に取り組むスタートアップが登場。クラウドではマネージドクラウドやOpenStackが台頭。

クラウド時代のエンタープライズアーキテクチャー
森 洋一 ●テクノロジーリサーチャー
ソフトウェアデファインド時代、SDNとSDSは実際の適用の段階に。ビッグデータのためのデータセンターOSも動き出す。

4-5 製品技術関連統計資料


第5部 社会動向

5-1 法律

インターネット関連法律の全体動向
岡村 久道 ●弁護士 国立情報学研究所 客員教授
改正された「電気通信事業法」「電波法」「不正競争防止法」「個人情報保護法」「マイナンバー法」の内容を解説する。個人情報保護法の重要部分は政令や委員会規則に委ねられている点が多く、今後も注視を要する。

改正個人情報保護法成立に至るまでの動き
北澤 一樹 ●弁護士 弁護士法人英知法律事務所
改正個人情報保護法の成立に至るまでに国会で行われた審議について、個人情報の定義、利用目的の制限緩和、匿名加工情報や要配慮個人情報、トレーサビリティなど、骨子案からの変更箇所を中心に紹介する。

5-2 市民

オープンデータの現状と課題
庄司 昌彦 ●国際大学GLOCOM 准教授
政府サイトのデータは国際的定義に合うものに是正され、文化情報のオープン化、地方自治体の取り組みも進展した。ビジネス活用も高度化し、単純な可視化や情報提供から分析に基づく将来予測に移りつつある。

災害への対応とインターネット
佐藤 大 ●情報支援レスキュー隊 (IT DART) 代表理事/東北大学病院メディカル IT センター
東日本大震災ではボランティア情報支援などさまざまな形でインターネットが活用され、その後も災害支援ツールとして定着してきた。しかし、情報の空白地帯や評価基準の不在など今後克服するべき課題も多い。

5-3 教育

教育ICTの動向
関島 章江 ●電通国際情報サービス オープンイノベーションラボ シニアコンサルタント
日本型教育クラウド環境実現に向けて産学官の連携が加速、映像・デジタル教材活用サービスで新たな学校市場を狙う塾業界も本格参入を始めた。しかし、学校現場への導入速度は遅く、自治体間格差の悩みも深い。

5-4 その他の話題

ソーシャルメディアの事件簿と相談事例
大久保 貴世 ●一般財団法人インターネット協会 主幹研究員
ソーシャルメディアの普及により、個人の情報発信に伴うトラブルが多発している。SNSを舞台に発生した事件や典型的な相談例、トラブル事例を振り返りつつ、解決・予防に必要な知識や取り組みを紹介する。

5-5 社会動向統計資料

付録1インターネットの主な出来事 2014.11→2015.10

付録2インターネット20年年表 1994→2014

編者紹介

「インターネット白書」について

「インターネット白書」は1996年の創刊以来、日本のインターネットの成長や変化を毎年まとめてきたインターネットの書籍年鑑です。内容構成にあたっては、一般財団法人インターネット協会監修のもと専門家による寄稿と、市場動向調査により構成されてきました。現在は、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)も加わり、3団体の協力のもと、「The Internet for Everything」というキャッチフレーズを掲げて、より広範なインターネットの可能性をレポートしています。

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